ボクシング世界タイトルマッチ採点基準

★ 基本
・世界戦は12ラウンドで行われます。
・1ラウンドごとに優勢な方を10点とし、劣勢な方を減点する。(10POINT MUST SYSTEM)
・僅差であっても各ラウンドなるべく優劣を付けることになっている。

 

★ 採点基準
世界戦の採点は、大まかにいって下記の4項目で判断される。
採点に占める割合は、下記1が最も大きく234と続く。
基本的に1~4のいずれかの基準で差がある場合10対9とする。
注! 団体(WBA,WBC)によって各項目の採点に占める割合,優先順位が多少異なります。
また地域コミッションやジャッジの出身地域により採点傾向の違いなどが見られます。

1.有効なクリーンヒット
相手の急所に有効なパンチをヒットさせ、よりダメージを与えた方を優勢とする。

2.アグレッシブ(有効な攻勢)
より攻撃的である方を優勢とする。ただし単なる突進は攻勢とは認められない。

3.リングジェネラルシップ(主導権支配)
巧みな試合運びによって主導権を支配している方を優勢とする。

4.ディフェンス(防御)
相手の攻撃を無効にする防御に長ける方を優勢とする。
ただし攻撃と結びつかない単なる防御は評価しない。

その他
・ノックダウン、またはそれに近い状態で優勢な場合は10対8とする
・2度のノックダウンや一方がグロッキーでノックアウト寸前の圧倒的
優勢の場合は10対7とする

 

※ 実状・問題点
・有効なクリーンヒット等で優劣が明かなラウンドと、僅差で微妙なラウンドとが
共に10対9と同じポイントとなるため試合全体の印象とは異なる結果がもたら
されることも少なくない。現在の採点システム自体が試合全体の印象を正確に反
映できるシステムではないとも言えるかもしれない。
僅差のラウンド2つ分が、ダウンに相当するのも問題。

・各ラウンドの採点で10対10とすることは許されているものの、“僅差のラウ
ンドでも積極的に10対9の優劣をつけるべき”との「申し合わせ」がある。
「世界戦はなるべく引き分けにはするべきではない」という見解や、
「微妙なラウンドを振り分けられないジャッジは無能だ」という見方もあり、
実質的には、かなり微妙なラウンドでも優劣を付ける傾向にある。
そのため優劣が微妙なラウンドはジャッジ間でも採点が割れることが多々ある。

・ジャッジの中にも、テクニックを高く評価する者や、手数を評価する者、ボディー
打ちをあまり評価しない者,する者など微妙に評価するポイントが異なる場合がある
といわれておりジャッジ間でも採点が大きく異なることもある。

・観客の応援や歓声がジャッジの判定に影響を与えることもあると思われる。
同じレベルのパンチが当たっていても、観客の反応がまったく違う場合などは、
パンチの効果を見誤るということも起きかねない。
その為、優劣が微妙な試合の場合、地元選手に有利な判定(ホームタウンデシジョン)
が起きてしまうことが無いとはいえない。
もちろんジャッジはそういった影響を受けない公平な審判に努めてはいる。

・ジャッジはリングサイドから試合を見ているが、有効なパンチが死角に入り
チェックできないことも起こりうる。

・日本国内戦(4~8回戦や日本タイトルマッチ)の採点と世界タイトルマッチの
採点傾向は若干異なり、日本国内の採点は僅差のラウンドは無理に優劣を付けず
に10対10とすることも多い。