移動平均乖離率の確率
現在の株価が平均値からどのくらいずれているか(乖離しているか)を表す指標として、移動平均乖離率というのがある。
株価は平均からずれているとき、その乖離を解消する方向に動く傾向があるらしい。
今回は移動平均乖離率と株価の推移(確率)の関係を計算してみた。
移動平均乖離率と株価の推移
移動平均乖離率と株価の動きにはどのような関係があるのか。以下のような手順で計算してみた。
- 2000年1月~2014年8月の日経平均銘柄(225種)の日足データを用意。
- 移動平均乖離率が「-5%より低い」「-5%~0%の間」「0%~5%の間」「5%より高い」日を抽出。
- 抽出した日の1営業日~5営業日後の株価の統計をとって前日比が「プラスである確率」と「マイナスである確率」を計算。
- 抽出した日の1営業日~5営業日後について前日比の期待値を計算。
※移動平均線は25日線を使用。
以下が計算結果。
表の中の数字は「株価が上がる確率」を表している。また、晴れマークは「株価が上がる確率」の方が高いこと、雨マークは「株価が下がる確率」の方が高いことを表している。
計算結果を見ると、
・移動平均乖離率が-5%より低いとき、その後一週間は株価が上がる。
・移動平均乖離率が-5%~0%のとき、その後一週間は株価が下がる。
・移動平均乖離率が0%~5%のとき、その後一週間はおよそ株価が下がる。
・移動平均乖離率が5%より高いとき、その後一週間は株価が下がる。
という傾向があった。
基本的に、乖離が大きなとき(-5%より低いとき・5%より大きいとき)は、株価は乖離を埋める方向に動く傾向があることが分かる(かなり小さな傾向だけど)。
しかし、株価の乖離が小さいときはそれとは反対の動きがあるみたい。乖離率が-5~0%(ちょい低)のときと、乖離率が0~5%(ちょい高)のときを見ると、株価はむしろより乖離する方向に向かっているかのように見える(これもかなり小さな傾向)。
元々の日経平均株価自体が確率的に下げ傾向を帯びているので、数字に下向きのバイアスがかかっていてちょっと分かりにくいと思うけど・・・。
なにやら移動平均乖離率と株価の間には、単純な線形の関係ではない少々難しい関係があるようだ。
ちなみに乖離率と前日比の期待値の関係を計算すると、以下のようになった。
この結果を見ても、先の確率の計算結果と同じで
・乖離率が大きいときは乖離を埋める方向に株価が動く
・乖離率が小さいときはより乖離する方向に動く
という傾向があることが分かる(ただしすごく小さい傾向)。
これも、元々の日経平均株価自体が期待値的に上げ傾向を帯びているので、数字に上向きのバイアスがかかっていてちょっと分かりにくいと思う・・・。
結論
・移動平均乖離率が大きいとき、株価は平均線に向かう(乖離を埋める)方向に動く傾向がある。
・移動平均乖離率が小さいとき、株価は平均線から離れる(より乖離する)方向に動く傾向がある。
(どちらもとても小さな傾向なので、元々の日経平均自体の上げ傾向・下げ傾向に埋もれてしまってちょっと結果が分かりづらかった・・・)